医療事故の定義

 医療事故というと、真っ先に思い浮かぶのは、医師や看護師などのミスによる、患者側が被る被害ではないでしょうか。詳しく「医療事故」が何なのか見てみると、厚生労働省による定義では患者側だけではなく、医療従事者が被害を受けた場合も医療事故となりますし、医療行為とは直接関係のない事故も医療事故に含まれます。医療ミスそのものは、医療事故の一部分であることが分かります。どうしても患者側の被害が目立ちますが、ケースによっては、患者が医療従事者に対して、加害者になることもあるということになります。
 もちろん、ヒューマンエラーや薬害による患者への健康被害や死亡事故はあってはならないことではありますが、医療事故の判例を見ていくと、とんでもない内容が含まれていることに驚くかもしれません。事故や自殺で重篤な状態で搬送された患者が死亡した場合、医療事故として莫大な損害賠償を支払わなければならなくなった判例などもあります。過失というのは、やすべきことを怠ったり、やるべきではないことをやってしまったりするという事です。
 医療事故は、原告側が勝訴するケースの方が少なく、医療従事者側に有利という印象も受けますが、実際にはそんなことはありません。裁判の席では、裁判官はそもそも医療従者ではありませんから、被告側の立場で判断をするケースが多くなっています。また、医療事故はもともと和解による解決が多く、裁判となるケースの中には無理があるとしか言えないものも含まれているという事になります。もちろん被告側が証拠隠滅や改ざんを行った場合は、その責任追及は法定に持ち込んでも当然で、訴える事ができるという国民の権利を行使したにすぎません。ですが一部の弁護士に踊らされ、明らかに無理目の訴えが勝訴してしまうと、今度は医療制度そのものが崩壊しかねません。そのため、もともとリスクそのものが高い出産現場では、医師不足が起こるようになりました。新生児死亡率を、他国と比べてみると日本は最低の、1,000人に1人の割合です。社会情勢が不安定な国や、医療制度そのものが整備されていない国では、平均して1,000人中50人を超える場合もあります。つまり、日本人は無事出産して当たり前という感覚になってしまい、出産で危ない目にあうこと、赤ちゃんが危険にさらされる事が「異常」だという認識すら持っていることになります。もちろん産婦人科、特に産科は激務であることもその原因の一つですが、訴訟が多い事も医師不足の多きな原因になっています。もちろん産婦人科に限った事ではなく、昔ほど医者という職業が魅力的ではなくなってきているようです。もちろん医師に有利な制度となって患者側に被害があってもいけないのですが、医者になりたいという人がいなくなっても困りますよね。

 

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