救急車の行き先

 世界的に見ても珍しい、無料で使える救急車を国民が利用できる日本。それでは救急車の行き先、つまりは患者の行く先はどのようにして決まるのでしょうか。まずは救急指定病院が周辺で一つしかなければ、ほとんど行く先はその救急指定病院です。他に受け入れる病院が無ければ、無理をしてでも受け入れなければいけませんから受け入れ拒否という事はまずありません。もちろん受け入れ拒否ではなく受け入れ不能な場合は遠くの救急指定病院へという事になります。ただし、重篤な状態で受け入れ出来ないとなった場合には、いわゆるICU、集中治療室がある三次救急病院に行く事もあります。三次救急病院は人口100万人あたり最低一か所が必要になっていますから、人口密度の高い地域ほど三次救急病院は近くなる事が多くなります。ですが人工密集地ほど、病院の受け入れ拒否になりやすく、特に都心は妊婦の救急搬送は断られやすいのが問題になっています。うちで受け入れなくても、他の病院があるからと考えてしまうからです。といってもやりたくない、というような理由ではなく、当直医が治療できない、他の患者があって治療できる医師がいない場合などももちろんあります。
 それでは逆に、救急車で運ばれる病院を自分で選ぶ事はできるのでしょうか。持病があってかかりつけの病院がある場合、そこが救急対応しているのであれば連絡は取ってくれます。ただし受け入れは病院側の判断になりますから、必ずその病院に行けるとは限りません。日本ではただでさえ医師不足の状態なのですが、救急車を使う側のモラルが低く、タクシーを使えば十分自分で病院に行けるような状態で救急車を呼ぶ人も増えています。そうしたモラルのない利用者のために、本当に必要としている人に救急搬送が行えない危険があるというのもおかしな話です。救急車を呼ぶ人のなかには常連さんもいるようで、こうした人たちの存在も救急車の運営上、大きな問題になっています。救急車の有料化が検討されている理由は、こうしたはた迷惑な人々が原因に他なりません。

 

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