廃病院の行く末

 日本の公共病院は、約7割が赤字経営ですが、他に住民の医療サービスを担う場所がないという理由で、赤字のまま経営を続けているのが現状です。公共病院は都道府県などから財政面での援助を受けながら、経営されています。そんな現状ですから、現在では病院の倒産話も、珍しい話ではなくなってきました。倒産した病院はどうなるのでしょう。
 オカルト番組などでよく登場するのが、荒らされた廃病院です。ガラスが割られたり、ファンキーな落書きやオカルト色のあるいたずらがされたりと、肝試しのターゲットになりやすい病院は荒らされやすいようです。建造物侵入、器物破損などの犯罪であるばかりでなく、病院には危険な物が残されている事も多いのですが、不法侵入者はそんな事考えもしないのです。
 経営が行き詰まり、経営が破たんした病院は、施設の解体費用を出すことすらできないのは、容易に想像できます。肝試しスポットになってしまい危険な状態の場所も多いようですが、ほとんどの廃病院は放置されているのが現状です。廃村など、そもそも人がいなくなった場所にある病院はそのほとんどが放置されます。土地の所有者が亡くなった場合、相続人がいればいいのですが、過疎化した地域では相続放棄となることもあり、所有者が市区町村に移動することもあります。土地の所有者がいる場合も、市区町村のものとなった場合も、周辺に人がいなければ放置されてしまうのが普通です。都心にある廃病院は、比較的管理されているものが多くなっています。荒らされるかどうかは、管理してあるかどうかが大きく影響します。建物倒壊の危険がある場合は、自治体が税金を支払って解体する事になる場合が多くなっています。ですがほとんどの場合、放置されてしまう事になります。
 個人病院や診療所の場合は、医師不足や後継者問題で廃業となることもありますが、病院が閉鎖される理由は、ほとんどが経営破たんです。病院の経営が成り立たなくなる理由は、日本の医療制度が採算のとりにくい仕組みになっているのが大本の原因になっています。それはともかく、赤字で閉鎖した病院であれば、撤去費用もなかなか捻出できないのは当然と言えるでしょう。小さめの木造住宅や倉庫などでも、撤去費用は100万円を下りません。鉄筋コンクリートの建物となると、解体費用は坪単価にして木造の1.5倍程度。大き目の建物なら、数千万円かかることも。また、病院として機能しているときには、治療や入院に何の抵抗も無いのですが、倒産して土地建物が売りに出されたとしても、なかなか買い手は付きません。実際には周辺からは忌むべき土地として扱われることも多く、売ることも難しくなっているようです。
 現在も建物が老朽化しているにも関わらず、病院は建て替えが進んでいません。そんなにもうかる病院というのはなかなかないようで、今後は建て替え出来ずに廃病院となるケースも出てくるでしょう。

 

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