病気の自己判断の危険

 何かしら体に不調があると、今はインターネットで病名を探そうとする人が多くなっているようです。重大な病気では無いかと不安になって病名を見つけて対処法を調べる事で安心したい、あるいは重大な病気ではないと安心したいがための行動です。
 そうした心理はもちろん、誰にでも身に覚えのあるものでしょうが、病気の自己判断は危険が伴うことも考えておきましょう。病気ではないと考えたがる心理、これは当然、重大な病気の早期発見のチャンスを見逃す危険があることになります。これは楽観的に考える人よりも慎重に考える人が陥りやすくなります。慎重な人ほど、自分が病気ではないと考えられる理由を懸命に捜し、自分を納得させてしまうことがあるからです。
 逆に自分がこの病気ではないかと思い込んでしまった場合、医師に先入観を与え誤診の危険を大きくしてしまうこともあります。また、市販薬で対処したものの、薬の選び方や飲み方を間違えてしまうこともあります。自分の症状が市販薬で対処できるものだという思い込みで、薬剤師に相談せずに購入することが多いのも、自己判断が原因です。
 また、ネットなどを通して病気を自己判断することの弊害はそれだけではありません。ちょっとしたことで病院に行く人は、迷信深い人が多くなっています。もちろんみんながみんなそうという訳ではありませんが、「何気ない病気の兆候」などがテレビで放映されると、自分ももしかして……と心配になってしまったり、悪い事ばかりを考えてしまったりする人がいます。自分の健康に気を使っているのはもちろんいいことなのですが、「今のところ自覚症状はないが、自分は重大な病気かもしれない」と病院に駆け込み、結果何ら問題の見つからない人も多くいるようです。こうした人は、何度も違う病気を不安がって、受診することが多くなります。中には自覚症状が何もないにも関わらず、テレビで特集していた病気が心配になって受診してしまう人もいます。安易な受診が増加してしまうと医療費を食いつぶし、医療制度へ悪影響になることもあります。また、それとは真逆で、無理に病院に連れてでも行かなければなかなか医師にかかろうとしない人もいます。ご年配の方に多いのですが、この程度で医者なんて……と考えてしまうようです。実際病院に言ってみたら即入院という事態になることもありますから、我慢のしすぎも大きな問題です。
 自分の体の事は自分が最も良く分かる、これは道理ですが、情報に踊らされてしまうと誤った自己判断の可能性は高くなります。病名については自己判断せず医師にまかせ、自分は自分の体の状態を見極めることだけに集中した方がいいでしょう。

 

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