病院の歴史

 最初の病院は、庶民の救済のためではなく、戦争のためのものでした。軍隊の兵士を治療するために、ローマで建設されたのが入院施設としての最初と考えられています。
 ですが、現在の病院のように、一般人のための施設は、宗教的な思想によって始まりました。古代ギリシャのアスクレピオス神殿では、訪れる信者のために神官が医術を行ったとされています。この思想が後に、病院という考え方として広まることになります。ヨーロッパでは、中世期には宗教病院が誕生することになります。といっても当時は治療というよりは、生活困難となった病人の食事の世話などを行うことや、伝染病患者や精神病を患った患者を隔離するための施設でした。実際に医師が病院で治療に参加するようになったのは、17世紀ごろと言われています。そして18世紀に入って西洋医学が発展することになります。日本で最初の西洋医学病院は、現在の大分県大分市に建設されたもので、16世紀の事。この病院を作ったアルメイダは、キリスト教の布教を行っていた商人でしたが医師でもあり、後に自らがその病院で、無料で病人の治療を行う事になりました。
 日本では奈良時代に、悲田院という貧困者や孤児のための施設があり、共に建設された施薬院は庶民のための薬草を栽培するための施設でした。日本で最初の福祉施設で、これは仏教の思想によるものでした。戦国時代に前述の通り西洋病院の第一号が作られますが、これは一般に広まるのは後の話で、戦国時代、江戸時代には漢方医学が主流の時代が続きます。暴れん坊将軍にも登場する有名な小石川療養所は、庶民のための施設として活躍しますが、西洋医学がもてはやされるようになって廃止され、現在の東大理学部附属になります。  そして敗戦の後にアメリカ式の近代医学が導入され、日本の医療制度は大きく変わることになったのです。

 

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